こんにちは、こんたろです。
冬キャンプの醍醐味といえば焚き火と薪ストーブです。
雪の降りしきる中、暖かな炎の揺らぎを眺めながら
ゆったりした時間を過ごすのは至福でしょう。
ですが、テント内で火を使うことは重大な危険を伴います。
火事の危険もありますが、今回はもうひとつの危険。
「一酸化炭素」について解説します。
一酸化炭素ってなに?

一酸化炭素は物(炭素を含むもの、有機物)を燃やしたら発生します。
二酸化炭素よりも酸素原子がひとつ少ないものが一酸化炭素です。
一酸化炭素は無色透明・無味無臭の気体で、発生しても気付くことはできません。
気付きにくいのに人体に及ぼす害は甚大で、死亡例も多くあります。
この特徴から、サイレントキラーとも呼ばれます。
煙のことを一酸化炭素だと言う方もいますが
正確には「煙にも多く含まれる」です。
煙がなくても一酸化炭素は発生しています。
発生について
完全に燃焼すると二酸化炭素が多く発生し、
不完全燃焼すると一酸化炭素が多く発生します。
ただ、完全燃焼の場合でも一酸化炭素は発生しますので
完全燃焼してるから大丈夫!とは言えません。
不完全燃焼の条件は酸素が少ないこと。
酸素が足りないから一酸化炭素になりやすいのですね。
物が燃える際には大量の酸素を必要とします。
焚き火はもちろんのこと、
炭火のようにほとんど燃えていないように見える場合も
実は大量の酸素を消費します。
症状は?
一酸化炭素は人体に吸収されると、
血中のヘモグロビンと非常に結びつきやすい特徴があります。
ヘモグロビンは酸素と結合して体中に酸素を運んでくれるものですが
一酸化炭素のヘモグロビン結合力は酸素の250倍もあります。
一酸化炭素と結合したヘモグロビンはCOHbとなり、
血液中のCOHb濃度によって中毒症状が現れます。
COHb濃度40%以上で死亡のリスクがあります。
つまり。
一酸化炭素を吸うと、
酸素が体を巡らなくなって、
いろんな体調不良の症状が現れ、
吸い過ぎると死亡に至ります。
15~30%程度の間では頭痛、吐き気、めまいなどの
酒を飲み過ぎたときの状態によく似た症状が現れます。
他には集中力の低下、眠気、運動障害(体が思うように動かない)も起こります。
酒を飲んでいるとこの時点で異常事態だと気付くのは難しいですが、
自力で回復手段を取れるのはこのレベルまでです。
COHb濃度が30~50%まで高まると、
嘔吐、判断力低下、意識障害、失神、昏睡といった症状が現れ、
死亡のおそれが出てきます。
このレベルでは自力で逃げることも難しく、
死のリスクが一気に高まります。
濃度50%以上では昏睡、脳の損傷、けいれんが起こり、死亡に至ります。
仮に周りの助けがあって生還できたとしても、
脳に障害が残るリスクが高いと言われています。
参考:フィガロ技研株式会社>ガスに関する基礎知識>一酸化炭素
https://www.figaro.co.jp/knowledge/co.html
事故事例
FNNプライムオンライン>千葉の山林でカモ猟の男性3人の遺体…テント内には石油ストーブ 一酸化炭素中毒か?
https://www.fnn.jp/articles/-/132532
時事ニュースナビ>京都府相楽郡 笠置キャンプ場で死亡事故発生か- 一酸化炭素中毒が原因との情報も
http://dailynews-navi.com/archives/4760
Camp Walker>キャンプでの一酸化炭素中毒事故 2ルームテント入口のバーベキューでも、まさかの事故例が。。。
https://furious55.com/archives/4600
他にも個人ブログ等では体験談などがよく書かれています。
実際に一酸化炭素中毒になった、またはなりかけた人の体験は
非常に参考になるので、ぜひ確認してみてください。
キャンプでは何に気を付ける?

安全を優先するなら電気の暖房を利用すべき。
ですが、炎を使った暖房は冬キャンプの醍醐味でもあります。
せっかくの冬キャンプですから、
しっかりと対策をして、万全の状態で炎を楽しみましょう。
チェッカー
一酸化炭素を計測してくれる警報機です。
一酸化炭素は気付きにくいので、警報機は必須といえます。
業務用の高精度なものや日本製センサーを搭載したものは高額ですが、
中国メーカーの簡素なものは2千円前後から入手できます。
安い物は品質が良くないものが多く寿命も短いので、過信は禁物です。
事前の動作テストと、2個以上の併用を推奨します。
高額なもの、日本製のセンサーといえど
こういったセンサーは寿命が短く故障しやすい傾向があります。
必ず複数を併用し、事前のテストを欠かさないようにしましょう。
また、電池も予備を持って行くことを推奨します。
消火
火をつけたまま就寝するのはとても危険です。
完全に消火したことを確認してから就寝しましょう。
特に炭は消火したかどうか判断が難しいので、
火消し壺に移して密閉し、テント外に出しておくとよいです。
ただし密閉した火消し壺内には一酸化炭素が充満しますので
開ける際には要注意です。
薪ストーブは比較的一酸化炭素が充満しにくい構造ですが
煙突が煤(すす)で詰まったりすると一酸化炭素を含んだ煙が
テント内に逆流してきます。
ソロキャンプの場合は万が一のときに対応できません。
交代で火の番をするのでない限り、消火することをおすすめします。
それじゃあ寝てる間寒いよ、って場合は
寝具をもっとグレードアップしてください。
もしくは電源付きサイトで電気ヒーターや
電気毛布を活用しましょう。
換気
テント内の空気というのは、
想像以上に換気されにくいものです。
ベンチレーター開けて、スカートも上げておけば安心、
と軽く考えている人も多いでしょう。
テント内で火を使う場合、それでは全然足りません。
火は大量の酸素を消費します。
常に新しい空気を循環しなければ、
すぐに酸素不足となり一酸化炭素が発生します。
換気は頻繁に、大げさなくらいに実施してください。
特に焚き火は一酸化炭素の発生量が半端ないです。
換気を頻繁にすると寒いので、
できるだけ服装でカバーしましょう。
カイロや毛布、湯たんぽなど
火を使わない暖房・防寒の備えは必要です。
深酒
お酒を飲み過ぎると頭痛やめまい、吐き気を伴います。
大量に飲んだ場合は嘔吐、失神、判断力低下、運動機能障害を引き起こします。
これらは急性アルコール中毒の症状ですが、
一酸化炭素中毒の症状とかなり近いので
自分では判断できないでしょう。
一番怖いのは判断力の低下です。
消火や換気をしなければならないのに、
それを忘れてしまったり、しなくても大丈夫だと誤った判断をします。
また、酒を飲んだら強い眠気に襲われるという方も要注意です。
寝ているうちに一酸化炭素中毒の症状が進んだ場合でも
起きることができず、最悪の事態に繋がってしまいます。
お酒はほどほどが良いでしょう。
風向き
事故事例にもありましたが、
テント外でバーベキューをしていたら
発生した一酸化炭素がテント内に流れ込んで…
という可能性があります。
風向きはすぐに変わるので意識するのは難しいですが
少なくとも火元の風下にテントがある場合は
テントの換気を十分に行う必要があるでしょう。
酸素
なんとなく頭が痛い、めまいがするという症状に気が付いたら、
まずは酸素をしっかりと取り入れることと、
一酸化炭素を吸入しないことが重要です。
テント外の新鮮な空気を吸い、安静にすることが大切ですが
悪天候、低気温、周りで焚き火しまくってて煙たい…
など外に出るのが厳しい場面もあります。
あくまでも緊急用ですが、
酸素缶を使ってみるのも良いでしょう。
症状が回復したら、動けるうちに消火と換気を行います。
酸素缶は高温で破裂・爆発する恐れがありますので
熱源からは距離を取って保管しましょう。
まとめ

一酸化炭素は目に見えず、危険性を認識しにくいものです。
ぜひ実際にCO警報機を使ってみて、どれくらい換気が必要なのかを知ってください。
近年は冬にもキャンプをする人が増えてきて
同士が増えたようで嬉しい限りですが、
そんな中で事故が起こるのは非常に悲しいことです。
どうか安全に留意して
冬キャンプを楽しんでいただけますように。